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研究の掃溜ノオト

since 2011/2/13 知能ロボ研究の合間に思ったこととか書いてます。

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逍遥:体

ゆかりんのツアーいきたいです. 相馬です
(ちなみに横浜参戦♪

友達の水槽ゼリー(@Jelly_in_a_tank)とTwitter で体について軽く議論したことをまとめておきます.
(といっても僕は質問してただけですがw)
数学では集合の上に様々な構造を付加して議論します.

一応教科書的に体に付加される代数的構造を説明しますと


体(可換体)というのは集合Kの任意の2つの元a,b 加算a+bと乗算a×bが定義されており以下の性質を満たすものです.
(F1) a+b = b+a
(F2) (a+b)+c = a+(b+c)
(F3) Kの元0が存在して, すべての a∈K に対して a+0=a を満たす.
(F4) 任意の a∈K に対し, -a∈K が存在して a+(-a)=0 を満たす.

(F5) ab=ba
(F6) (ab)c = a(bc)
(F7) Kの元1が存在して, すべての a∈K に対して a1=a を満たす.
(F8) 0でない任意の a∈K に対し, a-1∈K が存在して, aa-1=1 となる.

(F9) a(b+c) =ab+ac, (a+b)c = ac+bc

(杉浦光夫さんの「解析入門Ⅰ」を参考にしました)


最も親しみやすい体の一つはやはり実数でしょう.
当然ながら実数は(F1)〜(F9)の条件を満たしています.
他にも例えば有理数Qや複素数Cも体になります.

ここで僕は水槽ゼリーに最初の質問をしたのですが
「有限個の元からなる体は存在するのか?」


当然, {0} に普通の加算乗算を定義したものは体になります.
これは自明な体と呼ばれているものらしいです.
(定義によってははじめからこれを体だとみなしていないものもあります)

水槽ゼリーが紹介してくれたのは
集合{0,1}上に加算と乗算を
1+1=0, 1+0=1, 0+0=0
1*1=1, 1*0=0, 0*0=0
と定義したものです.(1+1=0 となるところが普通の演算と違います)
これは確かに有限個の元から成る体です.

しかしこれもちょっと自明な気がしたのでもっと大きいのは?と聞くと
Z/pZ, pは素数
が返って来ました.
これは何かというと2つの整数においてそれぞれを
pで割った余りが等しければ等しいとみなして作った集合です.
(正確な記述では無いですがだいたいこんな感じ)
たとえばZ/5Zのなかでは 1 = 6 であったり 3 = 13 であったりします.
(習慣的にこの=は≡と書かれます)
これから Z/5Z は 集合{0,1,2,3,4}と同じとみなすことができます.
(ただしそこに定義されている加算乗算は普通とは少し違いますが)
(例えば 2+4 = 1 であったりします)

Z/pZはたしかに体です. しかも元の個数はp個なので有限個の元から成る体です.
ここで疑問に思ったのですがなぜpは素数じゃないといけないのでしょう?

これもそのまま質問したら(←自分で考えろ)
すぐに反例を挙げてくれました.

たとえば Z/6Z において 2 には逆元が存在しません.
実際に
2*0 = 0
2*1 = 2
2*2 = 4
2*3 = 0
2*4 = 2
2*5 = 4
です.
つまりZ/6Zは(F8)を満たしていないので体ではありません!

これはおそらくZ/6Zが整域でないことに原因があると考えられます.
整域とは"零因子を持たない非自明な可換環"で
つまり大事なところだけ言うと
a*b=0 であれば a=0 もしくは b=0 が必ず成り立つような可換環のことです.
可換環と(F1)~(F7),(F9)を満たしている集合のことです.
つまりほとんど体と同じですが可換環においては必ずしも逆元が存在するとは限りません.
Z/6Z は 2*3=0 ですので整域ではありませんね.

そこでどのような場合において 可換環が整域であれば体になるか?という疑問が出てきます.
これもそのまま水槽ゼリーに投げると、しばらくして返って来ました.
この定理をもって今回の逍遥の終わりにしたいと思います.

【定理】有限個の元からなる可換環R は整域であれば体である.
【証明(水槽ゼリーのツイートをほとんどそのまま)】
有限位数の環Rの、乗法の逆元を持たない元aは存在する。(例えば0)環Rが零因子を持たないとき、このような元が0以外には存在しないことを示す。
逆元を持たない元aをとるとax≠e(∀x∈R)いま、{ax;x∈R}⊂Rはeを含まないので位数はk未満となるので、あるx.y∈R(x≠y)についてax=ayとなる。つまりa(x-y)=0. Rは零因子を持たないのでa=0。従ってRの元のうち逆元を持たない元は0のみ。ゆえにRは体となる。
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